FX取引をしていると、「今の相場は買われすぎなのか、それとも売られすぎなのか?」「他のトレーダーは強気なのか、弱気なのか?」と、市場の雰囲気に迷うことがあると思います。
そんなときに参考になるのが、「Fear & Greed Index(恐怖と欲望指数)」です。この指数は、市場にいる人たちの心理状態を、数字でわかりやすく示してくれる指標です。
例えば、数字が小さいと「恐怖」が強くなっていて、多くの人がリスクを避けたがっていることを意味します。逆に数字が大きいと「欲望」が強く、みんなが積極的に投資している状態を表します。こうした心理の偏りは、相場が反転する前ぶれになることも多く、世界中の投資家が注目している重要なデータです。
「F&G指数」や「Fear & Greed指数」とも呼ばれるこの指標を理解することは、エントリーやイグジットに役立ち、相場の転換点を見極める武器にもなります。
この記事では、
- 恐怖と欲望指数の基本的な仕組み
- 数値の読み取り方
- 実際のトレードでの活用方法
を、できるだけわかりやすく解説します。さらに、この指数を使う際に注意すべき点や、ThreeTraderのプラットフォーム上での活用ヒントも紹介します。
最後まで読んでいただければ、F&G指数を正しく理解し、日々の相場分析に自信を持って活かせるようになるはずです。市場心理を読み解く力を身につけて、より有利なトレードを目指しましょう。
恐怖と欲望指数(Fear & Greed Index)とは?
マーケットの「今」を直感的に読み解くために、投資初心者にも頼りになるのが「恐怖と欲望指数です。金融関連のニュースや解説記事などでは、Fear & Greed Indexを省略して、頭文字を取った「F&G指数」という略称が使われています。(Fear & Greed Index、以下F&G指数)」
CNN Businessが提供するこの指数は、投資家心理を0〜100の数値で示し、恐怖と欲望のバランスを一目で把握できる優れたセンチメント指標です。

株価モメンタムやボラティリティなど七つの市場要素をもとに構成されており、複雑な相場感をシンプルに可視化してくれます。
特徴
F&G指数の一番のメリットは、「みんなが今どんな気持ちで株を買ったり売ったりしているか」を数字で見られることです。
ふつう、相場の雰囲気は「なんとなく良さそう」とか「ちょっと不安かも」といった感覚でしかわかりません。しかし、この指数があれば、その気持ちを0〜100の数字でハッキリ見ることができます。
また、この指数は平日なら毎日更新されるので、今の状況をすぐにチェックできます。さらに、過去のグラフも見られるので、「数字が下がったときに株価も下がっていた」などの関係を自分で調べることもできます。
例えば、2025年4月1日にアメリカが中国に対して関税をかけると発表したとき、株価が大きく下がり、F&G指数も「とても恐怖が強い」という数字に下がりました。そのあと株価が回復すると、指数も上がっていきました。
このように、F&G指数は投資家の気持ちと相場の動きの関係を知るために、とても便利なツールです。
計算方法
F&G指数をつくる7つの材料は以下のとおりです。
※ それぞれの指標を 0~100 の数値で表し、平均したものがその日のスコアです。数字が大きいほど「欲望」、小さいほど「恐怖」を表します。

7つの指標があることにより、どれか 1 つが異常な動きをしても、他の 6 つでならされるため、F&G指数はギザギザしすぎず、なめらかに動くようになっています。
ビットコインなどに使われる Crypto Fear & Greed Index も仕組みは似ていますが、データ源や更新頻度が違います。数字をそのまま比較するのは NG です。
恐怖と欲望指数の見方
恐怖と欲望指数が市場心理を示すことは分かったけれど、
「具体的にどうやって見ればいいの?」
「表示される数字は何を意味しているんだろう?」
と疑問をお持ちではないでしょうか。指数をただ眺めているだけでは、せっかくの分析ツールも活かしきれません。この章では、恐怖と欲望指数の具体的な見方を詳しく解説していきます。
指数が示す数値がどのような市場心理を表しているのか、相場の転換点を示唆するとも言われる「極端な恐怖」と「極端な欲望」が示す市況とは具体的にどのような状態なのか、そして単一の数値だけでなく指数の推移から何が読み取れるのか、分かりやすくお伝えしますね。
数値と市場心理


「極端な恐怖」と「極端な欲望」の市況
「極度の恐怖」市況ではニュースヘッドラインが悲観一色となり、流動性確保のための投げ売りが目立つ傾向があります。過去には2020年3月のパンデミック急落で指数が一時「2」まで沈み、その後数週間で株価がV字反騰しました。
一方、「極端な欲望」状態ではIPOブームや高PER銘柄への資金集中など過熱症状が見られ、長期移動平均線から大きく乖離した価格水準が出現しやすくなります。
指数の推移からわかること
単日のスコアだけでなく、「3日平均」や「1週間平均」など、少し長めの流れを追うことで、市場の気持ちの変化がどれくらいの速さで起きているかを知ることができます。
また、指数の傾き(上がり方や下がり方の角度)にも注目すると、市場の動きをさらに深く理解できます。例えば、指数が30を下回ったあとに3日連続で上昇する「恐怖からの脱出サイン」が出たとき、その週のS&P500の平均リターンがプラスになる確率が高い、というデータがあります。
反対に、指数が90付近で横ばいになり、株価の動きが鈍くなってきた場合、過去10年以上のデータでは、その後およそ2週間ほどで株価の調整局面に入ることが多いという傾向も知られています。
こうしたパターンを調べるには、CNNの公式サイトで公開されている過去データをCSVファイルでダウンロードし、エクセルやPythonでグラフを作ってみるのがおすすめです。学びの一環として、一度試してみると理解が深まります。
恐怖と欲望指数を活用したトレード手法
恐怖と欲望指数の見方を理解したら、次はいよいよ「どうやって実際のFXトレードに活かすか?」という実践的なステップです。分析ツールも、使い方を知らなければ意味がありませんよね。
このセクションでは、恐怖と欲望指数をあなたのトレード戦略に組み込むための具体的な手法やアイデアを詳しくご紹介します。具体的には以下の3つです↓
・逆張り戦略
・他のテクニカル指標を組み合わせた手法
・エントリー/イグジット判断のヒントとして利用
各手法をひとつずつ詳しく見ていきましょう。
逆張り戦略
F&G指数を使った代表的な方法の一つに、「逆張り戦略」があります。これは、市場のムードが極端に悲観的になったとき、つまりF&G指数が20以下の「極度の恐怖」ゾーンに入ったタイミングで、買いのポジションを取る方法です。
具体的には、F&G指数が急に下がって「極度の恐怖」を示した翌営業日に、S&P500などの株価指数に連動するETFを、日を分けて少しずつ買っていきます。そして、その後に指数が「中立」とされる40〜60あたりまで戻ったときに、反発のタイミングを見て売却して利益を確定します。
この戦略は、市場が悲観的になりすぎたときに、売られすぎた銘柄が反発しやすいという気持ちの反転を利用したものです。投資家の心理の偏りを逆手に取るアプローチともいえます。
ただし、地政学的なリスクや信用不安など、根本的な問題がある場合は、恐怖の状態が長引くこともあります。そのため、あらかじめ「トレーリングストップ」や「損切りライン」を決めておき、リスクをしっかり管理することが大切です。
他のテクニカル指標を組み合わせた手法
F&G指数は、市場全体の投資家心理を大きな視点でとらえるのに役立ちます。ただし、短期の売買タイミングをピタリと予測するには少し遅れがあるため、他のテクニカル指標と一緒に使うことで、シグナルの信頼性を高められます。
特に相性が良いのは、RSIやMACDといった「モメンタム系」と呼ばれる指標です。
例えば、F&G指数が20以下となり、「極度の恐怖」を示しているとします。このとき、RSIも30未満に落ち込み、さらにその日のローソク足が陽線で終わった場合は、「売られすぎ」「市場心理の過熱・悲観」「反発の兆し」がそろったタイミングと考えられます。
このような場面では、買いエントリーが検討でき、RSIが50を超えたところで売るのが基本の戦略の一つです。
また、MACDを使う場合は、MACDラインがシグナルラインを上に抜ける「ゴールデンクロス」が起きたうえで、F&G指数が底打ちしたと確認できれば、強めの反発サインと判断できます。
このように、複数の指標を組み合わせることで、1つの指標だけに頼った「だまし」や過剰な反応を避けやすくなります。エントリーやイグジットのタイミングもより正確になり、安定したトレード戦略を立てる助けになります。
エントリー/イグジット判断のヒントとして利用
デイトレーダーであっても、朝一番にF&G指数を確認することで、その日のボラティリティをある程度見通すことができます。
また、F&G指数は1日に1回しか更新されないため、日中の動きにあわせて見るのは難しいという面があります。そこで、前日の終値時点の指数を使って「ギャップの予測」に役立てる方法もあります。
例えば、前日のF&G指数が80を超えていて、翌朝の先物がほぼ動いていない場合、買いポジションを持っていた投資家が利益確定に動きやすいと考えられます。このようなときには、寄り付き直後に空売りを仕掛ける「スキャルピング」を狙うといった戦術が取られます。
一方、スイングトレーダーの場合、F&G指数が50前後で行ったり来たりしている「持ち合い相場」では、上昇や下落の流れに乗る戦略よりも、上下の範囲で売買を繰り返す「レンジ売買」が有効です。F&G指数を環境を見極めるフィルターとして使うことで、戦略の切り替えがしやすくなります。
また、ポジションサイズについても注意が必要です。F&G指数が極端な値を示しているときは、相場の動きが大きくなりやすいため、ATRなどを参考にしてロット数を減らすことが、リスク管理の基本とされています。
恐怖と欲望指数を利用する際の注意点
恐怖と欲望指数は市場心理を読み解く強力なツールですが、限界や注意点があります。それらを知らずに使うと思わぬ落とし穴にはまる可能性も否定できません。
では、どのような注意点かというと、以下の3つです↓
・指数は絶対的なシグナルではない
・ダマシが発生する可能性もある
・指数の反応は遅れることもある
今から、それぞれの注意点とその具体的な対策をセットで詳しく解説していきます。対策方法をしっかりと把握し、F&G指数を賢く使いこなしましょう。
指数は絶対的なシグナルではない
F&G指数は、市場の雰囲気を分かりやすく示すための補助ツールです。これだけで売買のタイミングを決める絶対的なサインではありません。
例えば、企業の業績が大きく悪化したり、インフレや金利の上昇といった経済全体の悪材料が続いたりする場面では、投資家の気持ちが長く不安に傾き、F&G指数もずっと「恐怖」のままになる場合があります。
こうした状況で「数値が低いからそろそろ買い時」と安易に判断すると、大きな損につながるおそれがあります。この指数は短期的な「買われすぎ」や「売られすぎ」を見つけるには役立ちますが、相場の大きな流れが変わるタイミングまでは示しません。ファンダメンタルズ分析や経済データと組み合わせて活用することがとても大切です。
相場の基盤が不安定なときに、この指数だけを頼りにすると、かえって損失を広げるリスクがあります。
対策
F&G指数のような「気持ちの流れを見る指標」だけでなく、企業の財務データや経済統計も一緒に確認し、いくつかの根拠をもとに売買判断する習慣をつけましょう。
この指数の仕組みを正しく理解していないと、「数値が低い=買い時」と短絡的に判断しがちです。しかし、相場が構造的にリセッションに入っている場合には、恐怖が長く続き、何度も損切りを強いられる可能性があります。
例えば、リーマンショックや2022年の急な金融引き締め時には、F&G指数が何度も20台まで下がったにもかかわらず、株価が本当に底を打つまでに半年以上かかりました。
また、この指数はアメリカ株をもとに作られているため、為替やコモディティ、個別株などにそのまま当てはめることはできません。
例えば、アメリカ株市場が「恐怖」の状態でも、米ドルが強ければドル円が上がることもあります。
複数の資産を取引する際は、それぞれの市場に合ったセンチメント指標を使い分ける柔軟さが必要です。
ダマシが発生する可能性もある
F&G指数は複数のデータを組み合わせて作られていますが、それでも「ダマシ」と呼ばれるような誤ったサインが出ることがあります。
特に注意したいのが、アメリカ市場の祝日や連休前後、四半期決算シーズンです。こうしたときは市場参加者が減り、出来高の偏りや一部銘柄への資金集中により、株価の値動きやプット・コール比率などの一部指標が不自然に動くことがあります。
その結果、実際の市場全体のムードを正しく反映していないにもかかわらず、F&G指数が極端に「恐怖」や「欲望」の数字を示し、トレーダーが誤った判断をするリスクが生じます。
このような背景を理解しておけば、指数の読み違いを減らすことにつながります。
対策
F&G指数が急に大きく変動した場合は、その中身であるサブ指標、例えばVIX(恐怖指数)やプット・コール比率、ジャンク債スプレッドなどの実際の動きを個別にチェックすることが有効です。
CNN Businessのサイトでは一部の構成要素を詳しく見られますし、他の金融情報サイトも活用すれば、さらに正確に把握できます。
例えば、VIXがニュースによって一時的に急上昇した場合、それが一過性のものかどうかを調べて、F&G指数全体の信頼性を確かめましょう。
また、不確実な状況では、ポジションサイズを小さくしたり、エントリーを見送ったり、リスクヘッジを強化したりと、慎重な対応が必要です。指標をうのみにせず、そのときどきの状況をしっかり検証する力が求められます。
指数の反応は遅れることもある
前にも触れましたが、F&G指数はアメリカ株の終値やその日の統計データをもとに計算されています。そのため、為替やコモディティのように24時間動いている市場に対しては、どうしても反応が遅れます。
例えば、為替や金利、商品市場が先に動き、その影響が数時間後や翌営業日に株式市場へ波及するような場合、F&G指数の変化はそれより遅れて現れます。つまり、今の市場の空気と指数の表示値にズレが出ることがよくあります。
例えば、アメリカ時間の深夜に発表された経済指標がドルや金に大きな影響を与えても、F&G指数がそれに反応するのは翌日になることがあります。
この「反応の遅さ」は、特に短期トレードを行う人にとっては注意すべきポイントです。
対策
短期トレードでは、F&G指数をメインの売買サインにせず、市場全体の心理を把握するための参考ツールとして活用しましょう。
例えば、エントリーの直前には、リアルタイムの板情報やニュース速報、経済指標カレンダーなどを優先してチェックし、F&G指数はあくまで補足的に使うのが適切です。
特に、この指数にはタイムラグがあることを前提にし、重要な判断をゆだねるのは避けるべきです。
また、指数の過去数日の流れを確認することで、市場心理の変化を大まかにつかみ、今の動きが一時的な反応か、それとも継続的なトレンドの始まりかを見きわめる手助けになります。
このように、「時間差がある」ことをふまえてうまく使い分けるのが、F&G指数を賢く活かすコツです。
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ThreeTraderで恐怖と欲望指数を活用
ThreeTraderは、FXトレーダーに最適な環境を提供するオンライン取引プラットフォームです。
まず、ThreeTraderの毎朝のデイリーレポートでは、専門アナリストがウェッジを含むチャートパターンの出現や、抵抗線、支持線などを簡潔明快に解説します。トレーダーは、わずか1分で重要な相場の動きを把握でき、市場のファンダメンタルを簡単に把握できるでしょう。
さらに、ウィークリーレポートでは、ファンダメンタルズや重要経済指標の分析を、たった3分で確認できます。FXトレードではテクニカル分析だけでなくファンダメンタルズも重要です。ウィークリーレポートを活用することで、市場の恐怖・楽観の状況を素早く判断できるはずです。
加えて、ThreeTraderはスプレッドが非常に狭く、プロのトレーダーからも高評価です。狭いスプレッドは、トレーダーの取引コストを低く抑えます。また、ThreeTraderではスプレッドの開きも最小限に抑えられ、チャートの精度が高いのも特徴です。
まとめ|恐怖と欲望指数(Fear & Greed Index)
本記事では、恐怖と欲望指数について、その基本から見方、活用法、そして注意点まで詳しく解説してきました。最後に、この記事で学んだ重要なポイントをまとめておきましょう。
まず、恐怖と欲望指数とは、市場全体のセンチメント、つまり参加者の集団心理が「恐怖」と「欲望」のどちらに傾いているかを、さまざまな市場データに基づいて客観的に数値化した指標でしたね。市場が過熱しているのか、それとも過度に悲観的になっているのか、その「空気感」を測るためのバロメーターのようなものです。
指数の見方としては、一般的に0から100のスケールで示される数値レベルを確認します。数値が低いほど「恐怖」が強く(売られすぎの可能性)、高いほど「欲望」が強い(買われすぎの可能性)ことを示唆します。特に「極端な恐怖」や「極端な欲望」と呼ばれるレベルは、相場の転換点を探るヒントとして注目されます。また、日々の指数の推移を追うことで、市場心理の変化を捉えることも大切です。
実際のトレードでの活用法としては、F&G指数は主に相場の反転を狙う「逆張り戦略」の参考シグナルとして利用されることが多いです。ただし、この指数単独ではなく、RSIや移動平均線といった他のテクニカル指標と組み合わせることで、分析の精度を高めることが推奨されます。エントリーやイグジットのタイミングを計る上での、補助的な判断材料と位置づけるのが良いでしょう。
恐怖と欲望指数は、市場心理という重要な要素を分析に取り入れるための有効な手段です。その特性と限界を正しく理解し、あなたのトレード戦略の中で賢く活用していくことで、より根拠のある意思決定ができるようになるでしょう。