WTI原油、地政学リスク再燃で上昇再開をうかがう
米国とイランの軍事的緊張を受けて原油価格が上昇し、インフレ警戒、米欧の長期金利上昇、株安が同時に進行している。独10年債利回りもECBの金融政策を巡る観測を背景に上昇しており、欧米金利の上昇は株式などリスク資産への資金流入を抑える要因となっている。
本日のテクニカル分析銘柄であるWTI原油(XTI/USD)は、米・イラン間の軍事的緊張の高まりを受け、ホルムズ海峡を巡る供給リスクが改めて意識されたことにより上昇した。中国の製造業PMI(公式)の改善は原油需要を支える材料である一方、非製造業PMIには弱さが残るため、供給不安と需要見通しの綱引きが当面の価格形成を左右する状況にある。
本日はユーロ圏の消費者物価指数(HICP)、米国のISM製造業景況指数、JOLTS求人件数に注目したい。物価、企業景況感、労働需給を示すこれらの結果は、欧米の金利見通しを見直す材料となる可能性がある。金利見通しの変化は債券、為替、株式に波及するだけでなく、景気・需要見通しを通じて原油価格にも影響する。
注目の値動きTOP3
(※直近10日間の平均的な値幅と比較:ATR)
- XTI/USD(WTI原油) ↑ 0.97
- EUR/USD(ユーロ/米ドル) ↑ 0.97
- USD/JPY(米ドル/円) ↓ 0.58
マーケットハイライト
- 米国とイランが軍事攻撃を再開、原油上昇と米金利上昇・米欧株安が同時進行
- 中国8月製造業PMI(公式)は49.8へ改善、非製造業49.0で内需の弱さ残る
- ダラス連銀製造業活動指数は11.6へ上昇、生産指数も16.1へ改善
- 独10年債利回りはECB9月利上げ観測を背景に3.32%まで上昇、2011年以来高水準
- 米株主要3指数は軟調、原油高とインフレ警戒・利上げ観測が重し
- JPN225(日経225連動CFD)は小幅に続落、米株軟調と円高圧力を背景に下げ優勢
- ドル円は反落、ドル軟化の中で159円台後半へ押し戻される
- ユーロドルは反発、ドル軟化に加え独CPI加速と独債利回り上昇が下支え
- ポンドドルは反発、ドル軟化の中でユーロとともに欧州通貨が小幅上昇
- 豪ドル円は続落、リスクオフに伴う資源国通貨売りと円買い圧力が交錯し下げ優勢
- 人民元(USD/CNH)は元高、製造業PMIの改善を受けて人民元買いが優勢
- ゴールド(XAU/USD)は続落、FRB追加利上げ観測と米金利上昇が重し
- WTI原油は上昇、米・イラン交戦再燃で供給不安が再浮上し86ドル台へ
- ビットコイン(BTC/USD)は続伸、リスクオフ懸念はあるものの機関投資家フローが下支えとなり底堅く推移
WTI原油/米ドル(XTI/USD)テクニカル分析
WTI原油(XTI/USD)の日足は、中長期の上昇基調を維持している。足元では、上昇が再開するかを確認する段階にある。価格は上向きのSMA200を上回り、LinReg20、LinReg50、LinReg200、LinReg520も上方向を示している。このため、短期から長期まで複数の算出期間で上向きの基調が確認できる。
ただし、価格はLinReg20・50の中心線をやや下回っており、短期的には上昇トレンドの中でSMA(200)に回帰する動きが続いている。KAMAとVIDYAも横ばいに推移しており、現時点では調整が明確なトレンド転換につながったとは判断しにくい。
一方、Brent原油とWTI原油の価格差は、8月下旬の6.8ドル超から5.6ドル前後まで縮小している。ホルムズ海峡を巡る地政学リスクが残る一方で、このスプレッド縮小は市場が供給遮断リスクをやや後退させて評価している可能性を示唆しているが、本日86ドル台への上昇と併せて解釈する必要がある。

焦点は89.00ドルと81.20ドル。89.00ドルを上抜ければ、短期的な調整を終えて上昇が再加速する可能性が高まり、次の上値水準として92.20ドルが意識される。一方、81.20ドルを下回れば調整圧力が強まり、次の下値水準である78.10ドルを試す可能性に注意したい。
本日の主な経済指標とイベント(9月1日)
- NFT.NYC 2026(~9/3)
- Real-World Asset Summit Brooklyn 2026(〜9/2)
- 10:30(日本時間)、オーストラリア・住宅建設許可件数(7月)
- 10:30(日本時間)、オーストラリア・経常収支(4-6月期)
- 10:45(日本時間)、中国・RatingDog製造業PMI(8月)
- 15:00(日本時間)、英国・ネーションワイド住宅価格(8月)
- 16:55(日本時間)、ドイツ・製造業PMI(8月)
- 17:00(日本時間)、ユーロ圏・製造業PMI(8月)
- 17:30(日本時間)、英国・住宅ローン承認件数(7月)
- 17:30(日本時間)、英国・製造業PMI(8月)
- 18:00(日本時間)、ユーロ圏・消費者物価指数(8月 HICP)
- 18:00(日本時間)、ユーロ圏・失業率(7月)
- 22:45(日本時間)、米国・S&P Global製造業PMI
- 23:00(日本時間)、米国・ISM製造業景況指数(8月)
- 23:00(日本時間)、米国・建設支出(7月)
- 23:00(日本時間)、米国・JOLTS求人件数(7月)
※本記事の情報は市場の動向をご紹介するもので、投資の推奨や勧誘を行うものではありません。また、情報の正確性・完全性について保証するものではありません。
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