注目の経済指標とイベント(12/15~12/19)
今週は米・欧・日の主要3地域で政策イベントが重なる稀な週となる。米国では雇用統計・CPI・PCEの発表が集中し、インフレと賃金の方向性が利下げの道筋を左右する。ドルを中心に相場変動が強まりやすい展開が想定される。
欧州ではECB理事会とラガルド総裁の会見が控える。インフレ評価のニュアンス変化がユーロの方向性を決め、クロス円にも波及する可能性がある。日本では全国CPIと植田総裁会見が控え、利上げ観測が高まっている。実質金利と円の基調を見極める重要な場面となる。
今週のテクニカル分析ではUSDCADとWTI原油を取り上げる。いずれも週足で調整・収束局面にあり、金利見通しの変化に伴うリスク選好の振れと重なることで、方向性が出やすいタイミングにある。
注目の経済指標とイベント(12/15~12/19)

重要な指標・イベント(日付順)
- 12月16日(火)米・雇用統計(非農業部門雇用者数・失業率・平均時給)
景気の持続力を測る基礎データで、雇用動向と賃金の強弱が市場の注目点となる。振れ幅の大きい指標のため、発表直後にドル相場が動意づく場面が多い。結果次第でBTCやゴールドへの資金シフトも想定される。特に賃金の伸びには注意が必要。
- 12月18日(木)米・消費者物価指数(11月CPI)
米インフレの方向性を読む最重要指標。住居費やサービス価格の粘着性が焦点となる。予想との乖離が大きければ利下げ観測が揺れ、ドルの反応が強まる展開が見込まれる。BTCやゴールドにも波及が想定される。
- 12月18日(木)ユーロ圏・ECB政策金利+ラガルド総裁会見
欧州景気と物価の評価が問われる場面。金利判断そのものに加え、総裁発言にみられるニュアンスに市場は神経質になっている。インフレ評価や景気認識に変化があれば、ユーロの方向感が定まり、クロス円にも影響が及ぶ可能性がある。
- 12月19日(金)米・個人消費支出(11月PCE)
FRBが政策判断で最も重視するインフレ指標。コア指数の鈍化ペースが焦点だ。市場予想との差が生じれば金利見通しが修正され、ドルだけでなく暗号資産にも影響が広がる余地がある。サービス価格の変化に注目したい。
相場のファンダメンタル
先週の為替市場は、12月FOMCを最大の焦点として推移した。FRBは0.25%の利下げを決定し、ドル円は154円台に下落する場面がみられた。また、豪州中銀とカナダ中銀がそろって政策金利を据え置いたことも、各国の金融政策の方向性を見極めようとする動きにつながった。
今週は米国の重要経済指標の発表が集中し、為替市場の動向を決める展開となる。16日に発表予定の米雇用統計は景気の持続力を測るうえで重要であり、特に賃金の伸びが金利の見通しに影響を与える。18日には米消費者物価指数(CPI)と欧州中央銀行(ECB)政策金利の発表が重なるため、ユーロ・ドル・円のクロス通貨も含めて相場変動が拡大する見込みである。また、19日の米PCEはFRBが重視する物価指標であり、来年の金融政策を占う材料となる。
金利観測が相場のテーマであり続ける中、主要指標の結果次第でドルを中心とする資金移動が強まる可能性がある。投資家心理は敏感で、イベント発表に伴う値動きの拡大につながる地合いである。
テクニカル分析
米ドル/カナダドル(USD/CAD)
カナダドル(USD/CAD)の週足チャートを分析する。直近ではボリンジャーバンド+2σで上昇後に反落。足元では26期間ミドルバンドを下回り、調整色がやや強まっている。
ローソク足がミドルバンドを割り込んだことで、戻り局面では同バンドが抵抗として意識されやすい環境となっている。
RSIは60台から40台前半へ低下し、買い優勢の状態が後退した。MACDはゼロライン付近で両線が収束し、トレンドの勢いが乏しい。
反発した場合、まず1.3893ドルが水平抵抗として意識される。終値で上抜くと1.4016ドル付近まで上値余地が広がる可能性がある。一方、ミドルバンド自体も戻り局面の上値を抑えやすく、価格の反発力は限定されやすい点に注意したい。
下方向は1.3691ドルを割り込むと弱含みが強まり、1.3540ドルの直近安値を試す展開も視野に入る。
現状では、ミドルバンドを上回れるかが戻りの強弱を判断する基準となり、水平抵抗である1.3893ドルと合わせて、上値の重さを測る重要なポイントとなる。これらの水準を巡る攻防が、次の方向性を探るうえで鍵となりそうだ。

WTI原油/米ドル(XTI/USD)
WTI原油(XTI/USD)の週足チャートを分析する。現在は上値切り下げと、下値の底堅さが続き、価格は収束しながら推移している。ローソク足は緩やかに下降しながら、26週SMA(ミドルライン)を下回っており、戻りの鈍さも確認できる。
RSI(14)は40台前半で中立水準を割り込んだ状態が続き、モメンタムは改善に乏しい。MACDもマイナス圏で推移し、ヒストグラムがやや拡大する一方、MACDシグナルと接触しており、強い方向性は見えにくい。
下値では直近安値の55.18ドル、次に51.90ドルがサポートラインとして意識される。反発局面では節目となる60.00ドル、そして62.99ドルがレジスタンスラインとなりやすい。
現時点では持ち合い下限の維持が焦点であり、RSIが中立圏へ戻るかが反転可否の判断材料となる。今後は下限割れリスクと戻り局面の強さを慎重に見極めたい。

※本記事の情報は市場の動向をご紹介するもので、投資の推奨や勧誘を行うものではありません。また、情報の正確性・完全性について保証するものではありません。
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