注目の経済指標とイベント(6/29~7/3)
現在の市場は、米国景気の底堅さとインフレ圧力の継続を背景に、FRB・ECB・日銀の政策余地を比較する展開が中心となっている。市場参加者の関心は、各国の経済指標を通じた金利差の再評価へ移っている。為替・株式・暗号資産など複数の資産クラスをまたぐ資金フローが、相場の方向性を左右する展開となっている。
今回のテクニカル分析は、大型株を代表するUS30と、小型株の動向を映すUS2000の相対パフォーマンスに焦点を当てる。US30の値堅さは大型株への安定的な資金流入を示す一方、US2000の上昇はリスク選好が小型株へ広がりつつある可能性を示す。週後半の米雇用統計を受けて、金利低下期待が維持されるかどうかが、米国株内部の資金循環を見極める重要な分岐点となる。
今週は、ドイツCPI、日銀短観、ユーロ圏HICPコア、米ISM製造業景況指数、そして前倒しで発表される米雇用統計が最大の注目材料となる。各指標は各中央銀行の追加政策余地を見極める重要な判断材料となり、結果次第では為替だけでなく株式や暗号資産を含めた市場全体のボラティリティが高まりやすい。
注目の経済指標とイベント(6/29~7/3)
| 日付 | 経済指標とイベント | 日本時間 |
| 6/29(月) | Global Blockchain Show Riyadh 2026(6/29~6/30) | - |
| ユーロ圏・消費者信頼感(6月) | 18:00 | |
| ユーロ圏・経済信頼感(6月) | 18:00 | |
| ユーロ圏・ECBラガルド総裁 発言 | 28:00 | |
| 6/30(火) | 日本・雇用統計(5月) | 8:30 |
| 日本・鉱工業生産(5月) | 8:50 | |
| オーストラリア・豪準備銀行金融政策会合議事要旨公表 | 10:30 | |
| 中国・製造業購買担当者景気指数(6月・PMI) | 10:30 | |
| 英国・実質GDP(1-3月期) | 15:00 | |
| ドイツ・失業率(6月) | 16:55 | |
| ドイツ・消費者物価指数(6月・CPI) | 21:00 | |
| カナダ・実質GDP(4月) | 21:30 | |
| 米国・ケース・シラー米住宅価格指数(4月) | 22:00 | |
| 米国・シカゴ購買部協会景気指数(6月) | 22:45 | |
| 米国・消費者信頼感指数(6月・コンファレンス・ボード) | 23:00 | |
| 米国・JOLTS求人件数(5月) | 23:00 | |
| 7/1(水) | カナダ・休場 | - |
| IVS2026 CRYPTO ZONE(7/1~7/3 京都) | - | |
| 日本・日銀短観(4-6月期大企業製造業業況判断) | 8:50 | |
| オーストラリア・住宅建設許可件数(5月) | 10:30 | |
| 中国・RatingDog製造業購買担当者景気指数(6月・PMI) | 10:45 | |
| ドイツ・製造業購買担当者景気指数(6月・PMI) | 16:55 | |
| ユーロ圏・製造業購買担当者景気指数(6月・PMI) | 17:00 | |
| 英国・製造業購買担当者景気指数(6月・PMI) | 17:30 | |
| ユーロ圏・消費者物価指数(6月・HICPコア) | 18:00 | |
| 米国・ADP雇用統計(6月) | 21:15 | |
| ユーロ圏・ECBラガルド総裁 発言 | 22:30 | |
| 英国・BOEベイリー総裁 発言 | 22:30 | |
| 米国・FRBウォーシュ議長 発言 | 22:30 | |
| 米国・製造業購買担当者景気指数(6月・PMI) | 22:45 | |
| 米国・ISM製造業景況指数(6月) | 23:00 | |
| 7/2(木) | ニュージーランド・住宅建設許可件数(5月) | 7:45 |
| ユーロ圏・失業率(5月) | 18:00 | |
| 米国・雇用統計(6月) | 21:30 | |
| 米国・新規失業保険申請件数 | 21:30 | |
| 米国・製造業新規受注(5月) | 23:00 | |
| 7/3(金) | 米国・休場 | - |
| 中国・RatingDogサービス部門購買担当者景気指数(6月・PMI) | 10:45 | |
| ドイツ・サービス部門購買担当者景気指数(6月・PMI) | 16:55 | |
| ユーロ圏・サービス部門購買担当者景気指数(6月・PMI) | 17:00 | |
| ユーロ圏・ECBラガルド総裁 発言 | 17:00 | |
| 英国・サービス部門購買担当者景気指数(6月・PMI) | 17:30 | |
| 英国・BOEベイリー英中銀総裁 発言 | 24:00 |
重要な指標・イベント
- 6月30日(火)ドイツ・消費者物価指数(6月・CPI)
ドイツはユーロ圏で最も経済規模が大きく、物価動向はECBの政策判断に強く影響する。ECBの政策判断ではインフレ再燃への警戒が残っており、今回のCPIは金融政策のスタンスを見極める材料となる。中東情勢を背景にエネルギー価格の上振れが警戒された一方、足元ではエネルギー価格が落ち着きつつあることから、物価の強さがどこまで残るかが焦点である。上振れならユーロ買い、下振れならユーロ売りが出やすい。 - 7月1日(水) 日本・日銀短観(4-6月期,大企業製造業業況判断)
日銀短観は、日本企業の景況感を確認する代表的な指標である。日銀の政策正常化観測が意識されるなか、企業が円安や賃上げコストをどのように受け止めているかが注目される。強い結果なら、日銀の追加利上げが意識され、円買いにつながりやすい。弱い内容なら、円安の流れが続きやすくなり、ドル円やクロス円の値動きに影響する。 - 7月1日(水) ユーロ圏・消費者物価指数(6月・HICPコア)
ユーロ圏のコア物価は、エネルギーや食品を除いた基調的な物価の強さを示すため、ECBの政策判断で重視される。ECBは6月に利上げを行い、物価見通しも引き上げているため、今後の金融政策の方向性を見極める材料となる。市場予想を上回ればユーロ買い、下回ればユーロ売りが出やすい。特にサービス価格の伸びが注目点となる。 - 7月1日(水) 米国・ISM製造業景況指数(6月)
米国製造業の景況感を示す代表的な経済指標であり、新規受注、雇用、仕入価格などの内訳にも注目が集まる。直近は米利上げ観測とドル高が市場の中心テーマになっており、企業活動の強さが確認されると、米金利とドルを押し上げやすい。新規受注、雇用、仕入価格の項目が特に注目される。価格上昇の強さが目立てば、株式や暗号資産などリスク資産には売り圧力が強まりやすくなる。 - 7月2日(木) 米国・雇用統計(6月)
米国では利上げ観測が再び意識され、ドル高が続くなかでの雇用統計となる。今回は翌7月3日が米国休場のため、通常より1日早い木曜日夜に発表される変則日程である。非農業部門雇用者数(NFP)、失業率、平均時給の伸びが強ければ、米金利の高止まりが意識され、ドル買いにつながりやすい。弱い内容なら、ドルの上値が重くなり、暗号資産には買い戻しが入りやすくなる。
相場のファンダメンタル
ドル円相場は、米国の経済成長と物価の高止まりを背景に、ドル優位の地合いを維持している。前週発表された米国の1-3月期実質GDP確定値は上方修正された一方、個人消費は減速しており、景気全体の底堅さと家計需要の鈍化が併存する構図が鮮明となった。また、米国の5月個人消費支出コア価格指数は物価上昇圧力の残存を示したが、市場予想の範囲内にとどまり、過度な警戒感は和らいでいる。
市場の関心は、ドイツやユーロ圏の物価指標、日銀短観、米国の雇用統計など各国の重要イベントへと移る。物価指標はECBの追加利上げ観測を左右し、日銀短観は企業の価格転嫁力と賃上げへの姿勢を測る材料である。変則日程で発表される米国の各指標は、景気の強さと物価上昇のどちらを市場が重視するかを見極める重要な判断基準となる。
ファンダメンタル面では、単純なドル高ではなく、各国中央銀行の政策余地を比較する相場である。米国は雇用と賃金が強ければ金利高止まりが意識されやすく、欧州は物価上昇と景気減速の綱引きが続く。日本は円安による物価上振れと政策正常化観測が交錯しており、主要国間の金利差が各通貨の方向性を左右しやすい。株式市場では、米金利が落ち着けば小型株への資金循環が続きやすい一方、雇用統計やISMでインフレ圧力の再燃が意識されれば、US2000の上昇持続性が試される展開となる。
テクニカル分析
ダウ・ジョーンズ工業株平均(Dow Jones Industrial Average)
ダウ指数(US30)は、週足ベースで上昇基調を維持している。価格はAMA(10)を上回って推移し、LinReg(13)、LinReg(52)、LinReg(156)もそろって上向きを保っている。特に短期のLinReg(13)は傾きが強く、直近の上昇モメンタムがLinReg(52)を上回る形で加速している。大型株中心のUS30が高値圏を維持していることは、米国株市場における中核銘柄への安定的な資金流入を示唆する材料でもある。
RSI(14)は70手前まで上昇しており、買い優勢の地合いを示す一方、短期的には高値圏に近づいている。ADX(14)も上昇基調にあり、単なる反発ではなく、トレンドの強度が回復している局面と判断される。加えて、別途統計モデルによる計測でも、トレンド持続性と高値圏への到達が確認されており、現局面は上昇基調を維持しながらも過熱修正リスクを伴う状態と判断される。
上値では53,125を明確に上抜けるかが焦点となる。同水準を突破すれば、次の節目である54,100方向への上昇継続が視野に入る。一方、50,000を割り込む場合は短期上昇の勢いが鈍化し、49,220近辺までの調整余地が生じる。
現時点ではトレンド転換よりも、上昇局面内の過熱修正リスクを伴う強気相場として捉えたい。

Russell 2000(US2000)
Russell 2000(US2000)は、週足ベースで上昇基調を維持している。価格はAMA(10)を上回って推移し、LinReg(13)とLinReg(52)も上向きを保っている。さらに、長期のLinReg(156)も緩やかな上昇を続けており、短期・中期・長期の方向感はおおむね整合している。大型株のUS30が安定的な上昇を維持するなか、US2000にも買いが広がっている点は、リスク選好が市場内部で広がりつつあることを示す重要な変化である。
RSI(14)は70手前まで上昇しており、買い優勢の地合いを示す一方、短期的には高値圏に近づいている。ATR Ratio(13/52)は1.0を上回る水準で推移しているものの、足元ではやや伸びが鈍く、上昇に伴うボラティリティ拡大は一服しつつある。別の補助指標でも、上昇の持続性と高値圏への到達が確認されており、現局面は強気相場の継続と過熱修正リスクが併存する状態と考えられる。
上値では3,046.90を明確に上抜け、同水準の上で定着できるかが焦点となる。突破後は3,125.00方向への上昇継続が視野に入る。一方、2,851.60を割り込む場合は短期上昇の勢いが鈍化し、2,792.11近辺までの調整余地が生じる。現時点ではトレンド転換よりも、上昇局面内での一時的な過熱修正とみなすのが妥当である。
US30とUS2000はいずれも週足で上昇構造を維持しているが、両者が示す意味は同じではない。US30の上昇は大型株への安定的な資金流入を示す一方、US2000の強さはリスク選好が小型株へ広がっている可能性を示している。したがって、今週の米国株市場では、US30が高値圏を維持できるかに加え、US2000が3,046.90を上回って定着できるかが、リスク選好の広がりを判断する重要な分岐点となる。

※本記事の情報は市場の動向をご紹介するもので、投資の推奨や勧誘を行うものではありません。また、情報の正確性・完全性について保証するものではありません。
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