注目の経済指標とイベント(8/10~8/14)
中東情勢による原油価格の変動が、インフレ見通しを不安定にしている。一方、米国では物価上昇が鈍化しつつも、需要は底堅さを保っている。こうした中、市場は各国の景気動向そのものよりも、中央銀行がどのような政策姿勢を取るかを重視して動いており、金利見通しが変わるたびに資金の流れも大きく動く展開となっている。
今週の注目銘柄であるAUD/USDは、週足ベースで長期上昇トレンドを維持しつつ、中期的な調整局面からの回復を試している。China A50(中国株指数)も、長期上昇トレンドの中で反発している。豪州中銀が高金利を維持する姿勢は豪ドルを支える材料となる一方、原油高を起点とするインフレ・金利上昇への警戒感は株式市場の重荷となりやすく、China A50の反発の勢いを抑える可能性がある。株式市場の軟化はリスク選好の後退を通じて豪ドルの上値も抑制する可能性がある。
今週は11日に豪中銀会合が控えているほか、12日に米CPI(消費者物価指数)、13日に米PPI(生産者物価指数)、14日に米小売売上高の発表が続く。インフレと需要の動向次第で市場が織り込む金融政策のシナリオが変わりやすく、各イベントの結果が出るたびにポジション調整が入るため、為替・株式ともに値動きが大きくなりやすい週といえる。
注目の経済指標とイベント(8/10~8/16)
| 日付 | 経済指標とイベント | 日本時間 |
| 8/10(月) | 日本・国際収支・貿易収支(6月) | 8:50 |
| 日本・日銀金融政策決定会合(主な意見) | 8:50 | |
| 8/11(火) | 日本・休場 | - |
| オーストラリア・NAB企業景況感指数(7月) | 10:30 | |
| オーストラリア・豪中央銀行 政策金利発表 | 13:30 | |
| 米国・中古住宅販売件数(7月) | 23:00 | |
| 8/12(水) | オーストラリア・四半期賃金指数(4-6月期) | 10:30 |
| ドイツ・消費者物価指数(7月 CPI、改定値) | 15:00 | |
| 米国・消費者物価指数(7月 CPIコア指数) | 21:30 | |
| 米国・財政収支(7月) | 27:00 | |
| 8/13(木) | 日本・国内企業物価指数(7月) | 8:50 |
| 英国・四半期国内総生産(4-6月期 GDP) | 15:00 | |
| 英国・月次国内総生産(6月 GDP) | 15:00 | |
| 英国・製造業生産指数(6月) | 15:00 | |
| 英国・鉱工業生産(6月) | 15:00 | |
| ユーロ圏・鉱工業生産(6月) | 18:00 | |
| 米国・生産者物価指数(7月 PPIコア) | 21:30 | |
| 米国・新規失業保険申請件数 | 21:30 | |
| 8/14(金) | ニュージーランド・ビジネスPMI(7月) | 7:30 |
| ユーロ圏・四半期域内総生産(4-6月期 GDP) | 18:00 | |
| 米国・小売売上高(7月) | 21:30 | |
| 米国・ミシガン大学消費者態度指数(7月) | 23:00 |
重要な指標・イベント
- 8月11日(火)13:30 オーストラリア・豪中央銀行政策金利発表
豪中銀は政策金利を4.35%に据え置く見通しである。インフレは依然として目標を上回っており、今回の声明では、追加利上げの必要性やインフレ上振れリスクへの認識が焦点となる。引き締め姿勢が強まれば豪ドル買い、利上げ打ち止め観測が広がれば豪ドルの上値を抑える展開となりやすい。 - 8月12日(水)21:30 米国・消費者物価指数(7月CPI・コア指数)
米CPIはFRBの金融政策を左右する中心材料である。6月はエネルギー価格の下落を背景に総合CPIが鈍化したが、7月も物価圧力の沈静化が続くかが焦点となる。予想を上回れば米金利の高止まりや追加利上げ観測を強め、ドルを支える一方、株や暗号資産には重荷となる可能性がある。 - 8月13日(木)15:00 英国・4~6月期GDP/6月月次GDP
英国の4〜6月期GDPと6月月次GDPは、景気の底堅さを測る重要指標である。1〜3月期は前期比0.6%成長と堅調だったが、今回の発表では、その後の成長がどの程度減速したかが焦点となる。市場予想を上回ればポンド買い、弱い結果となれば景気減速懸念からポンド売りが優勢となりやすい。 - 8月14日(金)21:30 米国・小売売上高(7月)
米小売売上高は、米国経済を支える個人消費の勢いを示す指標である。6月は前月比0.2%増と小幅な伸びにとどまり、7月も消費の底堅さを維持できるかが焦点となる。予想を上回れば米景気への安心感からドルや株式を支えやすく、弱ければ景気減速への警戒が強まる可能性がある。
相場のファンダメンタル
為替市場では、米国とイランの協議期待で原油が下落した後、ホルムズ海峡の通航規制案を巡る警戒から反発し、インフレ再燃と米金利上昇への懸念が残っている。ドル円相場は日米当局の円買い介入後に下げ止まったが、原油高によるインフレ再燃懸念が米金利の高止まり期待を強め、米景気の底堅さとあわせてドルを支える一方、雇用や消費の減速懸念もくすぶっている。
今週は豪中銀の政策金利、米消費者物価指数と生産者物価指数、英国GDP(国内総生産)、米小売売上高が相次ぐ。豪中銀が高金利を維持する理由や追加引き締めへの距離をどう示すかは豪ドルを左右し、米物価と消費の組み合わせは、FRB(米連邦準備制度理事会)の政策判断を測る材料となる。
ファンダメンタルズ評価で重要なのは、指標の強弱そのものではなく、金融引き締めの維持や緩和転換の判断にどう影響するかである。米経済は物価鈍化と需要の底堅さが交錯しており、強い指標でも金利上昇や株安を通じて資金の流れを変え得る。市場は景気差以上に、各国中央銀行の政策姿勢の違いを映しやすい状態である。
テクニカル分析
豪ドル/米ドル(AUD/USD)
豪ドル/米ドル(AUD/USD)の週足は、長期上昇構造の中で持ち直しを試している。LinReg(20)の傾きはマイナスを維持しており、中期的な下向き圧力が残る一方、LinReg(8)は上向きで、足元では短期的な回復基調が続いている。
現在値はLinReg(20)の0.7付近を上回っているものの、LinReg(52)の0.72付近には届いておらず、本格的な上昇構造への復帰には至っていない。
上値では0.7141が最初の抵抗線となり、これを上抜ければ0.72が次の焦点となる。反対に0.6958を割り込む場合は、0.6865に向けて調整圧力が強まりやすい。
長期では価格がSMA(200)から約5.9%上回っており、全体的なトレンドは上向きである。現状は、長期上昇構造を維持しながら、中期調整からの回復力を見極める局面と判断される。
外部環境では、AUD/USDと中国A50の20日相関が一時のマイナス圏からプラス圏へ回復している。両者の値動きは再び同方向に動きやすくなっており、中国株の動向が豪ドルの方向性を確認する材料として重要性を増している。今後はAUD/USDの0.7141〜0.72への上値試しとともに、中国A50との正の相関が維持されるかにも注目したい。

CHINA A50(CHCUSD)
CHINA A50(CHCUSD)週足は14,400付近で下げ止まり反発しているが、短中期では戻りを試す局面にある。直近価格はLinReg(8)を上回り、短期的には売り圧力の後退がうかがえる一方、LinReg(20)とLinReg(52)が15,200台で重なっており、中期的には上値抵抗が残る。
この抵抗帯をこなし、15,428.40を明確に上抜けられるかが反発継続を判断する焦点となり、突破すれば15,700.00が次の上値目標となる。一方、反発が失速した場合は14,400.00が重要な支持線で、ここを割り込むと14,185.30まで下値余地が広がる可能性がある。
長期ではLinReg(260)とSMA(200)がともに上向き、価格も両線を大きく上回るため、現状は長期上昇構造の内部で短中期調整が続いていると捉えやすい。
S&P500とのReturn・Level相関はともにプラス圏を維持するものの足元では低下しており、米国株との連動性がやや弱まっている。したがって当面は、15,428.40を回復して反発が継続するか、それとも14,400方向へ再び押し戻されるかが、短中期の方向性を見極めるポイントとなる。

※本記事の情報は市場の動向をご紹介するもので、投資の推奨や勧誘を行うものではありません。また、情報の正確性・完全性について保証するものではありません。
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