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注目の経済指標とイベント(6/1~6/5)

ウィークリー分析
安藤修安藤修
注目の経済指標とイベント(6/1~6/5)

米FRB利下げ延期観測の長期化により、高金利環境が定着しつつある。こうした中でも株式は底堅い動きを維持しているが、「高金利下での株価上昇の持続可能性」に対する警戒感が広がっている。足元では、金利高止まりを背景としたバリュエーション調整が焦点となっている。

ドル円(USD/JPY)は中長期の円安構造を維持する一方、160円接近に伴う推進エネルギー圧縮局面に入っている。日経225(JPN225)も週足上昇トレンドを維持しているが、ボラティリティ加速度の低下が拡張局面後半への移行を示しており、為替介入の可能性への警戒感や米国株との連動による不確実性が、ポジション調整を促しやすい環境となっている。

今週は、米ISM非製造業景況指数、ベージュブック、米雇用統計が集中し、FRBの金利政策観測が市場全体の方向感を左右しやすい。加えて、植田日銀総裁発言では為替けん制姿勢の強弱が円相場に直接波及し、日経225、ドル円などの同時変動が拡大する可能性がある。

注目の経済指標とイベント(6/1~6/5)

日付経済指標とイベント日本時間
6/1(月)中国・RatingDog製造業PMI(5月購買担当者景気指数)10:45
ドイツ・製造業PMI(5月購買担当者景気指数・改定値)16:55
ユーロ圏・製造業PMI(5月購買担当者景気指数・改定値)17:00
英国・製造業PMI(5月購買担当者景気指数・改定値)17:30
ユーロ圏・雇用統計(4月)18:00
米国・製造業PMI(5月購買担当者景気指数・改定値)22:45
米国・ISM製造業景況指数(5月)23:00
6/2(火)豪・住宅建設許可件数(4月)10:30
ユーロ圏・消費者物価指数(5月HICPコア指数・速報値)18:00
英国・BOEベイリー総裁 発言23:00
米国・JOLTS求人件数(4月)23:00
6/3(水)豪・実質GDP(1-3月期国内総生産)10:30
中国・RatingDogサービス部門PMI(5月購買担当者景気指数)10:45
ドイツ・サービス部門PMI(5月購買担当者景気指数・改定値)16:55
ユーロ圏・サービス部門PMI(5月購買担当者景気指数・改定値)17:00
英国・サービス部門PMI(5月購買担当者景気指数・改定値)17:30
日本・植田和男日銀総裁・発言17:30
ユーロ圏・卸売物価指数(4月PPI)18:00
米国・ADP雇用統計(5月)21:15
米国・サービス部門PMI(5月購買担当者景気指数・改定値)22:45
米国・ISM非製造業景況指数(5月)23:00
米国・耐久財受注(4月確報値)23:00
米国・米地区連銀経済報告(ベージュブック)翌3:00
6/4(木)英国・建設業PMI(5月購買担当者景気指数)17:30
ユーロ圏・小売売上高(4月)18:00
米国・新規失業保険申請件数21:30
英国・BOEベイリー総裁 発言翌0:40
6/5(金)ユーロ圏・実質GDP(1-3月期域内総生産・確定値)18:00
カナダ・失業率(5月)21:30
米国・雇用統計(5月)21:30
英国・BOEベイリー総裁 発言27:00

重要な指標・イベント

  • 6月2日(火)ユーロ圏・消費者物価指数(5月HICPコア指数・速報値)
    ユーロ圏のインフレ鈍化が進む中での発表となり、ECBの利下げ余地を判断する重要な指標である。コア指数が市場予想を下回った場合、追加利下げ期待が高まりユーロは売却圧力にさらされ、EUR/JPY等のクロス円も下押し圧力を受ける可能性がある。一方、予想上振れは利下げペース減速観測を招き、ユーロ買いが優勢となる。インフレ粘着性の有無がECBの政策判断を大きく左右するため、市場の反応は相応に激しくなる。
  • 6月3日(水)日本・植田和男日銀総裁 発言
    円相場の大幅変動後における日銀の政策スタンスを探る機会として、市場の関心が集中している。足元の円安進行と国内消費者物価上昇鈍化のジレンマの中、追加利上げに慎重姿勢を貫くか、それとも為替動向を理由に政策的警戒を示すかが焦点となる。「為替が物価に与える影響を注視」といった表現が出れば介入警戒から円買いが誘発され、穏やかなトーンであれば円安容認と解釈されドル円上昇を後押しする。発言内容が円相場やハイテク関連株の方向感を大きく規定する。
  • 6月3日(水)米国・ISM非製造業景況指数(5月)
    米国経済の大半を占めるサービス業の需要・雇用状況を示すデータで、個人消費の力強さを測る上で不可欠である。最近の雇用統計が弱含む傾向にある中、非製造業指数の鈍化が確認されれば、FRBが想定より早期に利下げへ向かうとの市場観測が一段と強まる。その場合、市場ではドル安とリスク資産買い(株式・暗号資産)の同時進行を見込む可能性がある。指数の水準次第で市場全体のリスク選好度が変わる。
  • 6月3日(水)【翌午前3:00】米国・米地区連銀経済報告(ベージュブック)
    全米の地域経済実態をまとめたFRB政策判断の根拠資料で、物価と雇用に関する記述の強度が市場の期待形成に直結する。最近は物価落ち着きと雇用軟化が併存する報告が増しており、今回の内容が利下げ開始時期への思惑を急速に変化させるリスクが高い。トーンの厳しさがドル・株式・債券市場の同時変動を誘発するため、各資産の値動きが相互に連動しやすくなり、市場全体の方向感を左右する重要な局面となる。
  • 6月5日(金)米国・雇用統計(5月)
    米国の金融政策判断を最も左右する指標で、雇用者数・失業率・平均時給が同時発表される。4月までの雇用者数の伸び鈍化傾向が5月も続けば、市場はFRBの年内利下げ実現をより現実的と評価し、ドル売り・株式買い・仮想通貨買いのリスク選好シナリオが急速に広がる。失業率上昇や賃金伸び率の低下は利下げの経済的正当性を高め、市場全体のセンチメント転換のきっかけとなるリスクが大きい。

相場のファンダメンタル

中東情勢に伴う原油価格の変動とインフレ懸念は、金融政策の見通しを不安定化させている。その中で、ドル円相場は159円台まで円安が進んでおり、日銀の為替けん制への警戒感が市場で意識されている。

今週は、米ISM非製造業景況指数、ベージュブック、米雇用統計が集中するため、FRBの金利政策を巡る市場の思惑は変動の主要な焦点となる。ユーロ圏では消費者物価指数も予定されており、ECB追加利下げ観測を通じてユーロ相場にも影響しやすい週である。

一方で、高金利環境の長期化、原油価格の高止まり、依然として不透明な中東情勢という複数の逆風が残る中でも、米国株が史上最高値圏を維持している点が大きな焦点となっている。本来であれば株式のバリュエーションを圧迫する要因が重なっているが、AI関連を中心とした大型テクノロジー企業への資金集中や企業業績の底堅さが、それらの悪材料を吸収している構図である。そのため、「現在の株価水準を正当化できるほど企業収益が拡大し続けるのか」は、市場の重要な検証テーマとなっている。

市場は単なる指標の強弱よりも、中央銀行の政策判断へどのような影響を与えるかを重視する地合いである。強い指標であっても利下げ先送りが意識されれば株安・ドル高に、弱い指標でも利下げ期待が強まればドル安へ振れやすい。加えて、高金利・高インフレ・原油高という通常はリスク資産に逆風となる環境下で株高が続いているだけに、今週は経済指標が『景気の底堅さ』と『金融緩和期待』の両立を支えられるか否かが、市場心理を左右する重要なテーマとなろう。

テクニカル分析

米ドル/円(USD/JPY)

ドル円(USD/JPY)週足は、上昇基調を維持しながらも推進力が一時的に鈍化し、高値圏で方向感を探る局面にある。線形回帰線LinReg(20)は依然として上向きを示し、上昇構造に大きな変化は見られない。一方で、LinReg(8)の低下が示すように、足元では上昇を押し進める推進力が弱まりつつある。

また、トレンドの持続性や市場構造を測る指標は、依然として方向性のある相場を示している。一方で、ボラティリティ関連指標は低下しており、現在はトレンドが加速する局面ではなく、高値圏でエネルギーを蓄積する圧縮局面と解釈される。統計的な過熱度はなお限定的であり、高値圏にあること自体が直ちに過熱を意味する状況ではない。

外部環境では、リスクオンや円売り要因が相場を支える一方、直近の米金利低下とドル指数(DXY)の動きが上値追随の勢いを抑制している。また、市場の関心は160近辺に集まっており、この水準を超えると、円買い介入が実施された価格帯としても強く意識される。そのため、市場は上昇構造を維持しながらも、強気材料と逆風材料が拮抗する状態にある。

160を明確に上抜けた場合、160.94近辺への上値試行が市場参加者の視野に入りやすくなる一方で、介入警戒が強まることで値動きが不安定化する可能性も併存する。反対に、157.80割れでは調整圧力が強まり、さらに156.25を下回る場合には、これまで維持されてきた上昇構造そのものの評価を改めて見直す局面へ移行する可能性がある。

【USD/JPY 週足チャート】

日経225(JPN225)

日経225(JPN225)週足は、上昇基調を維持しており、線形回帰線(LinReg)が示す傾向からは、中期的な推進力が長期トレンドを上回る状態にあることが確認される。

LinRegが示す角度およびADXはトレンドの強さを示し、トレンド持続性を評価する指標も構造持続を支持している。一方で、トレンドの予測可能性を評価する指標は高水準にあり、方向性は維持されながらも価格経路のノイズが増加しているため、短期的な変動幅は拡大する可能性がある。

統計面の指標からは高値圏への偏在が確認され、過熱感は強まっているが、現時点ではトレンド破壊を示す兆候は限定的である。

外部環境ではドル円(USD/JPY)との連動性は弱く、米国株との高い相関が主要な支援要因となっている。

今後は、6万6484を上抜ける場合は6万8750方向への上値拡大が意識される一方、5万9303を下抜ける場合は上昇進行局面から構造遷移局面への移行リスクが高まる。

【JPN225 週足チャート】

※本記事の情報は市場の動向をご紹介するもので・投資の推奨や勧誘を行うものではありません。また・情報の正確性・完全性について保証するものではありません。

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