注目の経済指標とイベント(7/6~7/10)
為替市場では、米6月雇用統計を受けたFRB(米連邦準備制度)の政策見通しが引き続き相場の中心材料となっている。市場は追加利上げ観測と景気減速懸念の間で方向感を探る展開となっており、今週も主要な経済指標や金融政策関連の発信が注目される。
今回は、ゴールド(XAU/USD)とWTI原油(XTI/USD)の月足を分析した。両銘柄とも高値更新後の調整局面にあるが、その意味合いは異なる。今回の調整は一時的な押し目なのか、それともトレンド転換の始まりなのか。長期チャートから今後の方向性を探る。
今週は米国の3連休明けに伴うポジション調整を起点に、主要国の経済指標や金融政策に関する発信が相次ぐ見通しである。これにより、インフレ圧力と景気減速のバランスが改めて評価される展開となりやすい。なかでも、市場の反応が大きくなりそうな経済指標とイベントを整理した。
注目の経済指標とイベント(7/6~7/10)
| 日付 | 経済指標とイベント | 日本時間 |
| 7/6(月) | ドイツ・製造業新規受注(5月) | 15:00 |
| 英国・建設業購買担当者景気指数(6月・PMI) | 17:30 | |
| ユーロ圏・卸売物価指数(5月・PPI) | 18:00 | |
| ユーロ圏・小売売上高(5月) | 18:00 | |
| 米国・サービス部門購買担当者景気指数(6月・PMI改定値) | 22:45 | |
| 米国・総合購買担当者景気指数(6月・PMI改定値) | 22:45 | |
| 米国・ISM非製造業景況指数(6月) | 23:00 | |
| 7/7(火) | FinTech Junction 2026(7/7~7/8、Tel Aviv) | – |
| 英国・ハリファックス住宅価格 | 15:00 | |
| ドイツ・鉱工業生産(5月) | 15:00 | |
| 米国・貿易収支(5月) | 21:30 | |
| 7/8(水) | 日本・国際収支・貿易収支(5月) | 8:50 |
| ニュージーランド・RBNZ(NZ中央銀行)政策金利 | 11:00 | |
| 米国・MBA住宅ローン申請指数 | 20:00 | |
| 米国・米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨 | 翌3:00 | |
| 7/9(木) | ニュージーランド・ビジネスPMI | 7:30 |
| 中国・消費者物価指数(6月・CPI) | 10:30 | |
| 中国・生産者物価指数(6月・PPI) | 10:30 | |
| 米国・新規失業保険申請件数 | 21:30 | |
| 米国・中古住宅販売件数(6月) | 23:00 | |
| 7/10(金) | 日本・国内企業物価指数 | 8:50 |
| ドイツ・消費者物価指数(6月・CPI、改定値) | 15:00 | |
| カナダ・雇用統計(6月) | 21:30 | |
| カナダ・住宅建設許可(5月) | 21:30 |
重要な指標・イベント
- 7月6日(月) 米国・ISM非製造業景況指数(6月)
米国では、中東情勢に伴う原油高の影響などから、5月のCPIが前年比4%台前半まで上昇し、ここ数年で相対的に高い水準となっている。サービス業の景況感を示すISM非製造業景況指数は、物価と雇用の両面を映すため、ドルや株式の値動きが、指標の強弱だけでなくFRBの金融政策運営への影響をどう意識するかによって変わりやすい環境となっている。 - 7月8日(水) ニュージーランド・RBNZ(NZ中央銀行)政策金利
RBNZは、基準金利(OCR)2.25%を維持しつつ、インフレと景気のバランスを慎重に見極めている。前回会合でも、一部では利上げ・利下げの可能性を巡って市場の見方が割れるなど、先行きの政策方向に対する不透明感が残る状況であり、今回の会合では金利水準だけでなく、声明文で示されるインフレ見通しや今後の政策方針への言及がNZドルの反応を左右する材料となる。 - 7月8日(水)【翌午前3:00】米国・米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨
6月のFOMCでは政策金利が据え置かれた一方で、参加メンバーによる金利見通しが引き上げられ、インフレ抑制を重視する姿勢が再確認されている。今回公表される議事要旨では、エネルギー高による物価圧力や労働市場の強さについて、FRB内でどの程度議論が行われたかが焦点となり、内容次第では高金利維持観測や追加利上げ見通しに対する市場の織り込みが変化する可能性がある。 - 7月9日(木) 中国・消費者物価指数/生産者物価指数(6月)
中国では、消費者物価(CPI)が前年比1%前後の緩やかな上昇にとどまり、内需の弱さが意識される一方、生産者物価(PPI)は5月時点で前年比+3.9%と2022年7月以来の高い伸びを示すなど、上流の価格は強含んでいる。今回の6月分では、エネルギー価格の動きや製造業の需要を背景に、CPIの弱さとPPIの強さという価格構造が続くかどうかが注目され、結果は豪ドルやNZドルなど中国経済と関連の深い通貨・資産のセンチメントに影響を与えやすい。 - 7月10日(金) カナダ・雇用統計(6月)
カナダでは、直近の前回の雇用統計で雇用者数が約8万人増加し、失業率が6%台半ばへ低下するなど、年初からの弱さを脱して持ち直しの動きが確認されている。もっとも、賃金動向や内需の強さについては引き続き注視が必要とされており、カナダ銀行はエネルギー高による物価圧力と景気のバランスを見極めながら、今後の会合での金利据え置き・変更を判断する姿勢であるため、今回の雇用統計はカナダドルだけでなく北米全体の景気認識を測るうえで重要な指標となる。
相場のファンダメンタル
為替市場では、米6月雇用統計を受けたFRBの政策見通しが主なテーマとなっている。非農業部門雇用者数(NFP)は5.7万人増へ急減速した一方、失業率は4.2%へ改善し、雇用の弱さと強さが混在する結果となった。
また、ドル円は介入警戒感から161円台へ急反落し、歴史的な円安水準からの転機となり得る動きとして意識されている。
今週は、米連休明けのポジション調整を起点に、米ISM非製造業景況指数やFOMC議事要旨が焦点となる。サービス業の物価圧力や当局者の議論から引き締め姿勢が確認されれば、ドル買い圧力が強まりやすい。加えてRBNZ(NZ中央銀行)や中国の物価統計も、各国の政策スタンスの違いを測る材料である。
市場は「インフレ再燃による追加引き締め」と「景気減速」の双方を完全には織り込みきれていない。米雇用の減速は利上げ警戒を和らげる一方、景気不安を強める面もある。市場は指標の強弱そのものより、各結果が中央銀行の判断をどう変えるかを見極める展開である。
テクニカル分析
ゴールド/米ドル(XAU/USD)
ゴールド(XAU/USD)は月足で4,000ドル付近まで調整しているが、現時点では長期上昇構造が完全に崩れたというより、急伸後の深めの調整が続いている。チャート上ではLinReg(24)、LinReg(60)、LinReg(120)がいずれも上向きを維持し、長期・中期トレンドは依然として上昇基調にある。
一方、価格はLinReg(60)を下回り、VIDYA(変動指数移動平均線)まで下落しており、4,000ドルの攻防が当面の焦点となる。3月の反落に続き6月も長い陰線を形成したことで、上値の重さが意識されるなか、4,000ドル近辺では反発も期待される。しかし、この心理的節目を明確に割り込む場合には、同水準がロールリバーサルにより戻り売りの起点となる可能性があり、3,750ドル、さらに3,440ドル近辺まで調整が深まるシナリオも想定される。
ただし、現時点では長期構造全体の崩れを示す段階ではない。ATR_Norm(正規化ボラティリティ指標)が高水準で推移している状況から、月足ベースでは値幅拡大が続く可能性があり、ボラティリティの高い展開には引き続き注意が必要となる。一方、4,380ドル台を回復できれば、調整一巡から4,690ドル方向への戻りを試す展開も考えられる。

WTI原油(XTI/USD)
WTI原油(XTI/USD)月足は、直近で急伸した後に反落し、足元では70ドル付近まで押し戻される展開となっている。
LinReg(24)は小幅ながら上向きを維持し、短中期では自律反発の余地を残す一方、LinReg(60)は依然として下向きで、5年規模の市場構造では弱含みの状態が続いている。LinReg(120)は緩やかな右上がりを示しているものの、価格は60SMAおよびVIDYAを下回っており、長期上昇トレンドへの明確な回帰は確認できない。
価格は12カ月前の水準を上回る一方、5年前との比較ではなお低く、過去5年間の最高値からも約4割下方に位置している。このことから、多年月足でみれば現在の状況は依然として回復過程にあると評価できる。また、ATR_Normが高水準にあることから、月足ベースのボラティリティは拡大した状態にあり、短期的な反発局面でも値動きは不安定になりやすい。
一方、市場では地政学リスクなどを背景に原油高への警戒感が強まっているものの、月足チャートが示す中期構造はその印象とはやや異なる。LinReg(24)の上向きは直近の急騰による影響を反映したものである一方、LinReg(60)は依然として下向きを維持していることから、ここ5年の価格構造がなお下降基調にあることを示している。
LinReg(120)や60SMAは緩やかな右肩上がりを維持しており、超長期では平均価格水準の切り上がりが続いていることがうかがえる。これは、短中期では弱さを残しながらも、超長期では上昇基調が維持されるという、時間軸によって評価が分かれる局面といえる。
今後は、価格が60SMAおよびVIDYAを回復し、中期トレンドを示すLinReg(60)の下向き傾向に変化が現れるかが、中長期の方向性を判断する上で重要なポイントとなる。

※本記事の情報は市場の動向をご紹介するもので、投資の推奨や勧誘を行うものではありません。また、情報の正確性・完全性について保証するものではありません。
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