注目の経済指標とイベント(9/7~9/11)
米雇用の減速感が金利低下を促す反面、原油高が物価警戒を残し、市場ではFRBが据え置きを選べるほどインフレが鈍るかを見切れていない。ドル安とリスク資産への資金流入が続くには、PPIやCPIでもインフレ鈍化が確認される必要がある。
ユーロドル(EUR/USD)とゴールド(XAU/USD)は、長期上昇構造を維持しながら短期反発が進む一方、中期では戻り売り圧力が残る局面にある。ドル安が下支えとして機能するものの、短期の買い圧力が中期トレンドへ波及するには、上値抵抗を吸収する価格形成が必要となっている。
今週は10日の米PPIと11日の米CPIが、雇用減速と物価警戒のどちらを政策判断へ強く反映させるかを左右する中心材料となる。ECBの政策判断も重なるため、欧米の金利見通しの再評価が主要通貨のポジション調整と変動幅を拡大する構造となっている。
注目の経済指標とイベント(9/7~9/11)
| 日付 | 経済指標とイベント | 日本時間 |
| 9月7(月) | 米国・カナダ 祝日(主要株式市場は休場) | - |
| ドイツ・鉱工業生産(7月) | 15:00 | |
| 英国・ハリファックス住宅価格指数(8月) | 15:00 | |
| ユーロ圏・域内GDP(4-6月期) | 18:00 | |
| 9月8(火) | Boston Blockchain Week 2026(~9/10) | - |
| 日本・実質GDP(4-6月期 改定値)/GDPデフレーター | 8:50 | |
| 日本・経常収支(7月) | 8:50 | |
| オーストラリア・ウエストパック消費者信頼感指数(9月) | 9:30 | |
| オーストラリア・NAB企業景況感指数(8月) | 10:30 | |
| 日本・景気ウォッチャー調査(8月) | 14:00 | |
| ドイツ・貿易収支(7月) | 15:00 | |
| 中国・貿易収支(8月) | 未定 | |
| 9月9(水) | Stablecon ’26(~9/10) | - |
| Crypto Expo Dubai 2026(~9/10) | - | |
| 日本・マネーストックM2(8月) | 8:50 | |
| 中国・消費者物価指数(8月 CPI) | 10:30 | |
| 中国・生産者物価指数(8月 PPI) | 10:30 | |
| 米国・MBA住宅ローン申請指数 | 20:00 | |
| 9月10(木) | 英国・RICS住宅価格バランス(8月) | 8:01 |
| ドイツ・消費者物価指数(8月 CPI) | 15:00 | |
| ユーロ圏・ECB政策金利 | 21:15 | |
| 米国・生産者物価指数(8月 PPI/PPIコア) | 21:30 | |
| 米国・新規失業保険申請件数 | 21:30 | |
| ユーロ圏・ECBラガルド総裁 定例記者会見 | 21:45 | |
| 米国・中古住宅販売件数(8月) | 23:00 | |
| 米国・卸売在庫(7月) | 23:00 | |
| 米国・アトランタ連邦準備銀行GDPNow | 翌3:00 | |
| 9月11(金) | ニュージーランド・ビジネスNZ PMI(8月) | 7:30 |
| 日本・国内企業物価指数(8月) | 8:50 | |
| 英国・鉱工業生産(7月) | 15:00 | |
| 英国・製造業生産高(7月) | 15:00 | |
| 米国・消費者物価指数(8月 CPI/CPIコア) | 21:30 | |
| 米国・ミシガン大学消費者信頼感指数(9月 速報) | 23:00 | |
| 米国・月次財政収支(8月) | 翌3:00 |
重要な指標・イベント
- 9月8日(火)日本・実質GDP(4-6月期 改定値)
日本の実質GDPは景気実態を示す基幹指標である。成長率と内外需の寄与度が日銀の政策判断材料となり、週初の円相場の方向性を決定する。予想を上回れば円買いを促して株式と暗号資産の上値を抑え、下回れば円売りとリスク資産への資金流入を支える展開となる。成長率本体に加えて個人消費や設備投資の内訳確認が重要であり、9月の日銀金融政策決定会合に向けた政策判断材料として意識されることになる。
- 9月9日(水)中国・消費者物価指数(CPI)/生産者物価指数(PPI)
中国の消費者物価指数と生産者物価指数は、世界第二位の経済圏における需要と供給のバランスを示す指標である。8月データは夏場の需要動向と不動産市況悪化が物価にどう影響したかを映し出し、中国政府の景気刺激策の効果が見え始める時期でもある。物価の弱さによって中国当局の追加景気刺激策への期待が強まれば、流動性拡大観測を通じて暗号資産にも波及する可能性がある。消費者物価と生産者物価の両方の推移確認が重要である。
- 9月10日(木)ユーロ圏・ECB政策金利/ラガルド総裁記者会見
欧州中央銀行の政策金利決定と記者会見は、ユーロ圏金融政策の最重要イベントである。8月のインフレや成長動向を踏まえ、政策金利の据え置きが続くのか、今後の政策変更を示唆するメッセージが示されるのかが焦点となる。政策金利の決定だけでなく、新たな物価・成長見通しやラガルド総裁の記者会見で示される今後の政策方針が、ユーロと欧州株の方向性を左右する。インフレ上振れによって利上げ観測が強まれば、ユーロの上昇要因となる可能性がある。
- 9月10日(木)米国・生産者物価指数(PPI/PPIコア)
米国の生産者物価指数は翌日の消費者物価指数に先行する物価圧力の確認材料である。7月の前年比4.7%上昇から企業のコスト圧力が続くかが焦点となり、予想を上回れば米債利回りとドルの上昇を支えて株式や暗号資産に負担となる。前月比横ばいであっても前年比の高止まりが市場の警戒ポイントであり、サービス価格とコア指数の動きが翌日のCPI先行指標として重要な意味を持つ。
- 9月11日(金)米国・消費者物価指数(CPI/CPIコア)
米国の消費者物価指数は、9月FOMCの政策判断を左右する最重要指標の一つである。コア指数の前月比が0.2%を上回るか下回るかでドルの方向性が分かれ、強いインフレはドル買い・米債利回り上昇・円売り圧力を、弱い結果は株式や暗号資産への資金流入を支える。雇用統計やPPIに後続する本指標が市場全体の方向性を大きく変える可能性があり、住居費とサービス価格の内訳確認が重要である。
相場のファンダメンタル
為替市場では、米国の雇用減速と原油高によるインフレ圧力が同時に意識されている。8月ADP民間雇用者数は3.8万人増と市場予想を下回り、労働市場の減速を意識させた。
さらに、ウォラーFRB理事が、インフレ鈍化が続けば9月会合での据え置きを支持する姿勢を示したことで米金利とドルが低下し、ドル円にも強い下押し圧力が加わった。他方、中東情勢を背景としたエネルギー価格の上昇が物価警戒を残している。
今週は、8日の日本4~6月期GDP改定値、9日の中国CPI・PPI、10日のECB政策金利と米PPI、11日の米CPIが焦点である。日本のGDPは日銀の政策判断、中国物価はアジア経済の需要動向を測る材料となる。ECBでは政策金利の決定と今後の政策スタンス、米国ではPPIとCPIを通じてインフレ圧力の持続性が改めて確認される。
米国では、9月4日の雇用統計を受けた市場反応が、週明けの金利とドルを考える出発点となる。雇用の評価に加え、PPIとCPIが物価の粘着性、すなわち価格が下がりにくい状態を示せば、FRBの政策見通しは改めて見直され得る。為替市場ではECBの政策姿勢、日銀の正常化観測、原油価格も含め、主要通貨間の金利差がどう変化するかを見極める必要がある。
テクニカル分析
ユーロ/米ドル(EUR/USD)
ユーロドル(EUR/USD)の週足は、6月以降の安値圏から切り返し、足元では反発基調を維持している。短期のLinReg(13)は明確に上向きで、価格もKAMAとVIDYAの上方に位置しており、短期的には買い圧力が優勢である。
一方、中期のLinReg(52)は下向きで現在値付近を通過しているため、現局面は「短期反発が中期下降基調を転換できるか」を確認する段階とみられる。
上値では1.1720が最初の焦点となり、ここを明確に上回れば1.1780が次の確認水準となる。この上値帯を突破できるかが、反発から一段強い値動きへ移行するうえで重要となる。反対に上昇が失速した場合はKAMAとVIDYAを維持できるかに加え、1.1475付近で下値を支えられるかを確認したい。ここを下抜ければ、反発の持続性が低下し、1.1350が次の焦点となる。
長期ではLinReg(156)とSMA(200)がともに上向きで、価格もSMA(200)を大きく上回っており、長期的な上昇構造が崩れたとは言いにくい。EUR/USDとXAU/USDの52週相関は+0.3台にとどまるため、ゴールド上昇だけをEUR/USD上昇の根拠とはせず、まず1.1720〜1.1780を突破できるかを確認したい。

ゴールド/米ドル(XAU/USD)
ゴールド(XAU/USD)の週足は、7月中旬の4,000ドル近辺から切り返しており、現在は長期上昇構造の中で、調整後の反発が中期的な上昇再開へ移行できるかを試す局面にある。
短期のLinReg(13)は明確に上向きへ転じ、価格もKAMAとVIDYAを上回っていることから、直近では買い優勢の状態が続いている。一方、LinReg(52)付近では上値を抑えられており、短期的な回復に対して中期的な戻り売り圧力が残っていることも示唆される。
このため、4,610ドルを明確に上抜けられるかが、反発継続を判断する焦点となる。突破すれば4,770ドルが次の確認水準となる一方、上抜けに失敗すれば持ち合いへ移行する可能性がある。下値では4,218.80ドル、さらに4,062.50ドルが支持候補で、後者を割り込む場合には現在の回復基調を再評価する必要がある。
LinReg(156)とSMA(200)はいずれも上向きで、長期構造は維持されている。DXYとの52週相関はLevelが+0.28、Returnが−0.36程度で、水準面の連動性は限定的だが、価格変化では逆相関が残る。
したがって、ドル動向は、ゴールドの方向性を判断する補助的な確認材料として注視したい。

※本記事の情報は市場の動向をご紹介するもので、投資の推奨や勧誘を行うものではありません。また、情報の正確性・完全性について保証するものではありません。
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