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注目の経済指標とイベント(6/8~6/12)

ウィークリー分析
安藤修安藤修
注目の経済指標とイベント(6/8~6/12)

市場の関心はインフレ水準そのものよりも、それが各国中央銀行の金融政策見通しをどう変えるかに向かっている。原油価格の高止まりと米景気の底堅さがインフレ圧力として意識される中、利下げ時期を巡る思惑が主要資産の方向性を左右しやすい環境となっている。

S&P500(US500)は高値圏でも買い優位が続く一方、Russell 2000(US2000)は上昇と利確圧力が交錯する局面にある。大型株の上昇加速が限界を迎えるか、小型株の復調が全面高につながるかの分岐点であり、両指数の乖離は相場の持続性を測る先行指標となる。

週後半にかけては米5月CPI・PPI、ECB政策金利、ラガルド総裁会見が最大の焦点となる。指標が予想を上回れば、ドル高と長期金利上昇を通じて、割高な株式や流動性に敏感なビットコインに圧力がかかりやすい。その結果、テクニカルな支持・抵抗水準を試すようなボラティリティ拡大につながる可能性がある。

注目の経済指標とイベント(6/8~6/12)

日付経済指標とイベント日本時間
6/8(月)オーストラリア・休場
日本・実質GDP(1-3月改定値)8:50
日本・国際収支・貿易収支(4月)8:50
ドイツ・製造業新規受注(4月)15:00
6/9(火)ドイツ・鉱工業生産(4月)15:00
米国・貿易収支(4月)21:30
米国・中古住宅販売件数(5月)23:00
米国・卸売在庫(4月確報値)23:00
6/10(水)中国・消費者物価指数(5月CPI)10:30
中国・生産者物価指数(5月PPI)10:30
米国・消費者物価指数(5月CPIコア)21:30
カナダ・カナダ銀行(BOC)政策金利22:45
米国・石油在庫統計23:30
米国・財政収支(5月)翌3:00
6/11(木)$RAIN トークンアンロック7:00
ユーロ圏・ECB(欧州中央銀行)政策金利21:15
米国・生産者物価指数(5月PPIコア)21:30
米国・新規失業保険申請件数21:30
ユーロ圏・ECBラガルド総裁 定例記者会見21:45
6/12(金)日本・鉱工業生産(4月確報値)13:30
ドイツ・消費者物価指数(5月CPI改定値)15:00
英国・月次GDP(4月)15:00
英国・製造業生産指数(4月)15:00
英国・鉱工業生産(4月)15:00
米国・ミシガン大学消費者態度指数(6月速報値)23:00

重要な指標・イベント

  • 6月10日(水)米国・消費者物価指数(5月CPIコア)
    CPIコアは物価基調を見るうえで最重要指標であり、FRBの金利判断に直結する。エネルギー価格上昇と賃金の高止まりが意識される中、今回の結果は次期会合で利下げを開始するかという市場想定を大きく修正する可能性がある。特に家賃やサービス価格の伸び率鈍化の有無が焦点となり、強い結果は利下げ先送り観測を強め、ドル買いと長期金利上昇につながりやすい。
  • 6月10日(水)カナダ銀行(BOC)政策金利
    政策金利2.25%据え置きがコンセンサスで、年後半にかけては次の一手として小幅な利上げシナリオも一部で議論されつつある。今回の決定と声明では、原油価格や米国景気の影響をどう評価するか、また経済・インフレ見通しをどう修正するかが焦点となる。市場が利上げ姿勢を強く感じ取れば、カナダドルを中心に資源国通貨が買われやすい。原油相場や資源関連銘柄にも波及する可能性がある。
  • 6月11日(木)ユーロ圏・ECB政策金利およびラガルド総裁記者会見
    ユーロ圏ではインフレが鈍化する一方、サービス価格の高止まりが政策課題として残る。今回は、利下げの有無に加え、今後の政策金利見通しがポイントとなる。また、ラガルド総裁の会見内容次第でもユーロ相場の方向性が左右されやすい。追加緩和を強く示唆すればユーロ売り圧力となり、慎重な姿勢ならユーロ買いが優勢になる。為替相場への影響は直接的であり、欧州株式市場全体の値動きとも連動しやすい。
  • 6月11日(木)米国・生産者物価指数(5月PPIコア)
    PPIコアは企業の仕入価格を示す先行指標で、数カ月先のCPI動向に影響する。足元ではサービス価格と人件費の上昇が続く中、企業がコスト増をどこまで販売価格に転嫁しているかが真の焦点である。市場ではインフレが予想以上に下がりにくいとの見方が再び強まっており、予想を上回る結果が出れば利下げ開始時期の後ずれ観測につながる。その場合ドル高と長期金利上昇により、株式・ナスダック銘柄・ビットコインなどリスク資産の調整圧力が強まる。仕入価格が上昇している具体的な分野の内訳にも注目が必要である。
  • 6月12日(金)米国・ミシガン大学消費者態度指数(6月速報値)
    米国の家計景況感と物価見通しは、個人消費と金利観測の両方を動かす重要材料である。5月確報値44.8の大幅低下は、ガソリン価格上昇と生活費負担増への警戒を映していた。CPI発表直後に出される6月速報では、期待インフレ率がさらに上昇するかどうかが特に重要となる。期待インフレが強まればドルと米金利が上昇し、円および暗号資産には逆風となる。逆に改善兆候が見えれば過度な警戒が緩和され、株価上昇とともにリスク資産への資金流入が進みやすくなる。

相場のファンダメンタル

現在の為替市場では、原油価格の高止まりがもたらすインフレ圧力と米経済の底堅さが、主要中央銀行の政策スタンスに影響を与え続けている。また、輸入依存度の高い日本では、エネルギーコスト上昇に伴うドル需要が円安要因として機能しやすい。一方で、企業の仕入れコスト上昇は将来の景気減速懸念にもつながっており、金利見通しを巡る市場の見方は分かれている。

今週の焦点は米国5月CPIとPPIである。これらの結果は、FRBの利下げ開始時期に対する見方に直結する。また、11日のECB政策金利決定では、ラガルド総裁の発言を通じて追加利下げの示唆の有無が注目される。

現在の市場は、個別指標よりも、それが金融政策に与える影響を重視している。強いインフレ指標でも利下げ先送りを想起させればドル高・リスクオフに、弱い指標でも利下げ期待を高めればドル安・リスクオンに振れやすい。同じ指標でも市場の受け止め方によって値動きが変わりやすく、今週は各国の金融政策見通しの変化に市場の関心が集まりそうである。

テクニカル分析

S&P500(US500)

S&P500(US500)は長期上昇構造を維持しながら、高値圏で推移している。チャート上ではLinReg(52)が安定した上昇角度を保っており、長期トレンドに大きな変化は見られない。

価格も依然として回帰線の上側で推移しており、構造的には買い優勢の状態が続いている。また、AMAおよびVIDYAの上側を維持しており、トレンドフォロー型の支持構造は崩れていない。

トレンド持続性を測る内部指標は高い持続性を示し、RSIも強いモメンタムを維持していることから、現時点では反転よりもトレンド継続シナリオが優勢と考えられる。

下段の相関指標ではWTI原油との逆相関が続いており、足元の原油高は株式市場にとって必ずしも追い風とはなっていない。また、米長期金利の高止まりとVIXの下げ止まりも併存しており、市場内部では金融環境の引き締まりやリスク警戒感が徐々に高まりつつあることがうかがえる。それでも長期上昇構造は維持されているため、現状はトレンド転換を警戒する段階というより、7812.5突破による再加速と7187.5割れによる調整深化のどちらへ向かうかを見極める局面と考えられる。

今後は7812.5の上値帯を突破できるかが焦点となる。突破が定着した場合は8000.0方向への上昇余地が広がりやすい。一方で7187.5を下回る場合は、価格が長期均衡方向へ回帰しやすくなり、6875.0付近が次の重要な支持帯として意識される可能性が高い。

【US500/週足チャート】

Russell 2000(US2000)

Russell 2000(US2000)は上昇構造を維持しているものの、上昇局面の終盤を意識し始める段階に入りつつある。

チャート上では、長期トレンドを示すLinReg(52)が引き続き右肩上がりを維持しており、年次ベースの上昇構造は崩れていない。一方で、価格は直近の急騰によって3000付近まで到達した後、やや上値の重さを示している。短期LinReg(13)は依然として上向きだが、その角度は急であり、上昇の持続性を確認する局面に入っていると考えられる。

また、AMAとVIDYAはいずれも上向きを維持しており、中期的な買い優位は継続している。一方で、価格と短期回帰線の上昇速度が長期構造を上回っており、足元ではトレンド継続と利益確定圧力が併存しやすい。

価格面では3000は心理的な上値抵抗となる。この水準を明確に上抜けた場合は、次の観測帯である3085が視野に入る。一方で、2812.50を下回る場合は短期上昇トレンドの減速が意識されやすくなり、2722.58割れでは上昇構造の再評価が必要となる可能性が高い。

下段の相関を見ると、ドル指数(DXY)およびWTI原油との逆相関が強まっており、金融環境やインフレ要因が小型株にとって逆風となる構図が続いている。現状は、上昇構造そのものよりも、「3000突破による再加速」と「2812.50割れによる失速」のどちらに傾くかを見極める局面にある。

S&P500が長期上昇構造を維持する一方で、US2000が3000を明確に突破できない場合、相場全体の上昇の広がりに限界が意識されやすくなる。逆にUS2000が3085を目指す動きとなれば、小型株主導のリスク選好の広がりとして、S&P500の高値圏での持続性を裏付ける要因となり得る。

【Russell 2000/週足チャート】

※本記事の情報は市場の動向をご紹介するもので、投資の推奨や勧誘を行うものではありません。また、情報の正確性・完全性について保証するものではありません。

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