米7月雇用統計が予想大幅下振れで労働市場後退懸念が強まり、FRB年内利下げ観測とドル売り優勢が継続
今週は米CPIと小売売上高が注目され、物価上昇の継続や消費動向次第で利下げペースの見直しが進む可能性
ポンドドルは英中銀利下げの影響も限定的で、ドル売り基調を背景に短期上昇。また、Japan225は42470突破なら上昇加速も視野に
Weekly Report【8/10】
注目の経済指標とイベント(8/11~8/15)

重要な指標・イベント
- 8月12日(火)米・消費者物価指数(CPI)
関税政策の物価押し上げ効果が注目される中での発表。関税による価格転嫁の兆候次第でFRBの利下げペース見直しの材料となる。CPIの伸び鈍化が示されれば、FRBの年内利下げ観測が強まり、ドル軟化に繋がる可能性。
- 8月14日(木)米・生産者物価指数(PPI)
企業の仕入価格にあたる指標で、CPIの先行指標として注目。予想を上回れば消費者物価への波及懸念からドル買い要因に。
- 8月15日(金)日本・実質国内総生産(GDP)
内需低迷や円安による輸入コスト増が意識される中、民間消費の回復度合いが注目。予想を下回れば円安圧力が強まる可能性。日銀の政策正常化ペースにも影響を与える重要指標。
- 8月15日(金)米・小売売上高
個人消費動向を占う重要指標。前月の堅調さを維持すれば、FRBの利下げ慎重論を支える材料となりドル買い材料に。反落なら景気懸念でリスク回避の動きも。
相場のファンダメンタル
先週の為替市場は、米国の経済指標の悪化と政治的な不確実性が重なり、ドル円相場は147円台前半で推移した。特に、7月の米雇用統計が予想を大きく下回り、ドル相場に大きな影響を与え、FRB利下げ観測も強まった。
また、トランプ大統領が統計局長を解任したことや、FRB理事の人事に影響を与えていることも政治的な干渉として懸念され、ドル売り圧力を強めた。
なお、英中央銀行の利下げによる影響は限定的であった。
今週は12日の米消費者物価指数(CPI)と15日の米小売売上高が焦点となる。CPIは関税政策による物価押し上げ効果の有無が注目され、結果次第でFRBの利下げペース見直しの材料となる可能性がある。
また、15日には日本の4-6月期実質GDPと米小売売上高が同日発表される。個人消費がGDPの約3分の2を占める米国経済の基調を示す小売売上高は、前回を上回る結果なら利下げ慎重論を支える要因となりうる。
市場は雇用統計ショックの余波で神経質な地合いが続いており、経済指標の結果に敏感に反応しやすい状況である。投資家心理の振れ幅拡大に注意が必要な局面といえる。
テクニカル分析
英ポンド/米ドル(GBP/USD)
GBP/USDの日足チャートを分析する。直近では20EMAが50EMAを下回るデッドクロスが出現し、上昇の勢いは鈍化傾向にある。足元の価格は50EMA付近にあり、下方では100SMMAが支持線として機能している。
RSIは50水準近辺で推移し、RSI50ライン突破失敗によるレジスタンス反応の可能性も懸念される。
上値目安は1.3486ドル、その上は1.3616ドルが抵抗帯として意識される。下値は1.3367ドル、さらに1.3245ドルが支持帯となる。
今後は、20EMAが再び50EMAを上回る動きに転じるか、あるいは再び1.3367ドルを明確に割り込むかが、短期トレンド方向を見極める重要な分岐点となる。

Japan225 Index(日経平均株価)
Japan225 Indexの日足チャートを分析する。価格はこれまで上昇トレンドラインと一目均衡表の基準線に支えられて推移してきた。
直近では転換線と基準線の双方が下値を支える形となり、再び上昇基調を強めている。MACDはプラス圏での横ばいが続き、現在はシグナルと接近しており、今後のゴールデンクロスまたはデッドクロスが短期的な方向感を決定づける可能性が高い。
上値の注目水準は42188および2024年7月高値の42470であり、この水準を明確に突破すれば上昇トレンドの一段加速が見込まれる。
一方、下値は40625および39844が支持帯として機能しており、これらを割り込む場合は調整圧力が強まり、短期的なトレンド転換リスクが高まる局面となる。
