日米両中銀の政策スタンスの乖離が相場を大きく左右する中、投資家のセンチメントは次の米利下げ期待へと傾いている。しかし、週末の堅調な米経済指標により追加利下げ観測が後退し、ドル円は149円台へ上昇した。
原油価格は、景気懸念から上値は重いが、減産姿勢や地政学リスクが下支え。資源通貨の豪ドル対米ドルは反発継続を試しており、資源市況の動向が焦点。
今週は日米欧の重要指標が相次ぎ、為替の方向性を左右。特に米雇用統計は、労働市場の強さや賃金動向を映しFRBの利下げペース判断に直結するため、最大の注目材料となる。
注目の経済指標とイベント(9/29~10/3)

重要な指標・イベント
- 10月1日(水)日本・日銀短観
日銀の追加利上げ判断に重要な材料となる企業景況感調査。結果次第で年内利上げ観測が変動し、予想を上回れば企業マインド改善で円買い材料、下振れなら景気減速懸念から円売りが強まる可能性。
- 10月1日(水)ユーロ圏・消費者物価指数(HICP)
ECBの年内利下げ回数見通しに直結する重要指標。コアHICPが焦点で、予想下振れなら利下げ加速観測でユーロ売り、上振れなら金融緩和後退観測でユーロ買い要因に。
- 10月1日(水)米・ISM製造業景況指数
景気動向を示す重要指標。FRBの利下げペース判断にも影響し、主要通貨ペア全般の方向性を左右する先行指標として機能。予想を下回れば景気減速懸念から利下げ期待強まりドル売り要因、好結果ならドル金利上昇観測を支えドル買いにつながりやすい。
- 10月3日(金)米・雇用統計
・米金融政策の最重要指標。雇用維持ならFRB慎重姿勢でドル堅調、大幅悪化なら成長不安からドル売り優勢に。平均時給にも注目。
- 10月3日(金)米・ISM非製造業景況指数
米経済のサービス業の動向を測る指標。製造業との乖離が拡大する中、サービス業の強さが米経済全体を下支えする構図。予想外の結果なら週末のドル相場に大きな影響を与え、翌週の取引開始時の方向性を決定づける要因となる。
相場のファンダメンタル
先週の為替市場では、日米両中銀の政策スタンスの乖離が相場を大きく左右する中、週末の相次ぐ堅調な米経済指標を受けて追加利下げ観測が後退し、ドル円は149円台まで上昇した。
今週は日米両国の経済指標が集中発表され、為替市場の方向性を占う重要な週となる。特に、米雇用統計は労働市場の動向や賃金上昇圧力を測る材料となり、利下げペース判断に直結する。また、日銀短観や米ISM製造業指数も予定され、主要中銀のスタンス見極めにつながる局面となる。労働市場と経済成長の両面から政策見通しが検証される週となる。
雇用統計を含む米指標次第で利下げ観測が再燃する可能性もあり、来週は金利感応度の高い通貨ペアを中心にボラティリティ上昇が想定される。
テクニカル分析
WTI原油/米ドル(XTI/USD)
WTI原油の週足チャートを分析する。2022年6月を起点とした下降チャネル内での推移が続いており、長期的な下落基調が維持されている構図である。また、3つの移動平均線(13SMA、52SMA、100SMA)の並びも下降トレンドの順序を形成している。
RSI(14)は50前後で中立圏にあり、強い方向感は見られない。
上値の目標は67.50ドルおよび69.25ドル付近で、さらにチャネルライン(点線)も上昇圧力の抑制要因となる。一方、下値は61.00ドルや58.70ドルが意識される支持水準であり、チャネル下限(点線)とも重なる水準となる。
現在は13SMAを小幅に上回っており、今後この水準を維持できるか否かが、戻り売り圧力の強弱を試すとともに、反発継続のカギを握る展開となる。

豪ドル/米ドル(AUD/USD)
AUD/USDの週足チャートを分析する。2017年12月を起点とする長期下降チャネルの下辺で下支えられた価格は、短期的な上昇基調へと転じている。
13SMAは上向きに転換し、52SMAとのゴールデンクロスが成立、両線の乖離拡大が進んでいる点は、上昇の勢いを裏付ける構図といえる。
RSI(14)は50を上回る水準を維持しているが、足元ではモメンタムの鈍化が意識される局面である。
上値目標として0.6710ドル、次いで0.6775ドルが目安となる一方、0.6470ドルを割り込み、0.6410ドルを下回るようであれば、調整色が強まる可能性がある。
現在はチャネル下辺からの戻り局面にあり、上値余地の見極めが問われる場面である。

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